クラウドってなんでしょう

「クラウド」は近年最もよく耳にするようになったWEB用語ではないでしょうか。最近ではTVのCMなどからも聞こえてきますし、これがそう、という意識がなくても日常的にPCを使う中でいつの間にか触れている方も多いはずです。

「クラウド」とは、ユーザーが大がかりな設備やソフトウェアを持っていなかったとしても、インターネットに接続できる環境があれば必要なシステムやサービスを利用することができる、というものです。

大きな温泉旅館をイメージしてみてください。
全室源泉かけ流しで一室一室内装の違う部屋風呂が自慢の立派な旅館です。しかし当然のことながら、部屋風呂はその部屋に宿泊している人しか入ることができませんよね。部屋にあるのが檜風呂なら岩風呂には入れません。最高級のスイートルームにはサウナも付いているそうですが、一般の客室は残念ながら一部屋一種類ずつの決まったお風呂です。

クラウドは大浴場です。その旅館に宿泊している人(サービスのアカウントを持っている人)であれば、大浴場に行けば(クラウドにアクセスすれば)いつでも旅館が用意している様々なお風呂に好きなだけ入ることができます。旅館が大浴場に用意しているものであれば、檜風呂も、露天風呂も、サウナも、打たせ湯も、電気風呂も、いつでも、なんでも、好きなだけ、です。

クラウドという考え方ができる前、ソフトウェアを使うにはまずそれぞれのPCにインストールする必要がありました。本社、自宅、支店を移動しながら同じ仕事をしようとすると、それぞれのPCに個別にソフトウェアを購入してインストールしなければいけなかったのです。業務用のソフトウェアには高価なものが多いので、大変な負担になりますよね。また、ソフトウェアによって作成したデータも個々のHDDに保存するため、持ち歩くために携帯用の記憶媒体(USBメモリなど)に保存する必要がありました。こういった携帯用のデータは近年でも紛失や盗難などが大きなニュースとなっています。また、データの消失や物的な破損などの恐れもあり、使用することに大きなリスクがありました。

クラウドって素敵なものですね

クラウドが普及した今はどうなっているでしょうか。
在宅勤務では自宅用のPCを開き、まずWEBブラウザを立ち上げますね。Gmailにログインしてメールチェックをします。過去のメールももちろん会社で確認したものがそのまま残っています。会計管理ソフトもクラウドに移行しているので、同じくWEBブラウザでログインし、昨日の続きから仕事を開始します。クラウドサービスでなければ自宅用PCに会社で使っているものと同じ会計ソフトをインストールし、昨日までの仕事データをUSBメモリに保存して持ち帰り、それを読み込んでから仕事を開始しなければいけなかったところです。

さて、仕事が進み、必要な作業が終わったところで会社の顧問税理士さんにチェックをお願いしましょう。会社で使用している業務用チャットサービス(これもクラウドサービスです)で一言、チェックをよろしくお願いしますと連絡します。これだけです。税理士さんにもクラウド会計サービスの顧問用アカウントを作っているので、税理士さんも都合の良い時間にログインして必要な資料を確認することができます。修正点があったので、税理士さんと担当者のPCでそれぞれ同じ画面を見ながらチャットサービスで数度やり取りして今月分のチェックは完了しました。

クラウドサービスの利用を開始する前までは、会社のPCの会計ソフトから必要なデータを出力し、大量のデータにパスワードをかけて圧縮してからメール添付で税理士さんに送信していました。税理士さんは受け取ったデータを解凍し、税理士用のソフトウェアに読み込み、処理を行います。確認事項があったのでメールで問い合わせが届きました。修正したデータを再度出力し、パスワードをかけて圧縮して…大変ですね。

データの保存も今ではクラウド上です。
従来は個々のHDDで保管されていた仕事上のデータ、移動のためには前述したように携帯の記録メディアに保存しなければいけませんし、共有するためには保存したデータをメール添付などで送ったり、記録メディアによって受け渡しをしたりしなければいけませんでした。
クラウド上のデータ保管庫のことを「クラウドストレージ」と言います。インターネットに接続できて鍵(アカウント)さえ持っていれば利用することができますし、相手に鍵を渡しておけば好きな時にデータの受け渡しが可能です。チームでの作業もフォルダを共有しておけばお互いのチェックもスムーズですし、常に最新の進行状況が同じ場所に保存されているので管理も容易になります。
セキュリティ対策や運用管理はサービスの提供者(ベンダーといいます)側で行われるため、社内サーバのように担当者を置いて管理する必要もありません。

ちなみに、前回まで勉強していたECサイトにもクラウド上に構築できるものがあります。費用はかかりますが、クラウドの利点は大きいので選択肢の一つとして検討してみるといいかもしれませんね。